サンデー毎日(2004年5月30日号)

総力特集―「年金未納政局」の行方
開いた口ふさがらぬ公明の対応


 (記事の一部を掲載しています)

 12日午後、「与直し公明党」と書かれたポスターの前で、公明党の神崎武法代表は、頭を下げていた。自身の未納が6ヶ月間に上ると説明し、「年金改革の必要性を最も強く主張した党として国民に大きな不信感を与えたことは抗弁のすべもない」と語った。党のCMで「そうは、イカンザキ!」と、正義の味方を演じた面影は見られなかった。

   冬柴鉄三幹事長と、北側一雄政調会長はいずれも未納8ヶ月。計13人が、適正な納付を怠っていた。『毎日新聞』の国会議員アンケートでは、未納議員の占める割合が22.8%で、他党よりも高い。

 公明党の対応には、多くの人が、首をひねったのではないか。冬柴幹事長が全議員に調査を促したのが4月23日。5月11日に年金制度改革関連法案が衆院を通過すると、待ってました、とばかりに翌12日、党内議員の未納状況を公表。調査開始から20日もたっていた。

 同党関係者が声を潜める。「うちにも未納議員がいるような話を、知り合いの自民党議員から聞いたんですよ。三役の中にいると。しゃれにならないなあと。連休の終わりごろの話です。その後、調べ直すということになり、やっぱり本当なんだと思ってましたよ」

 別の公明党議員も、「未納議員が何人かいるようだという話は事前に聞いていた。なるべく早く公表した方がいいって、執行部には言っていたんだよ」 と打ち明ける。

 さらに処分は、神崎代表について「党の名誉を傷つけた」として、2番目に軽い「けん責」にとどまった。

 検事出身の神崎代表はこれまで、未納問題の当事者を厳しく糾弾してきた。 4月30日には、民主党の菅直人前代表を、「他党や他人のことを言う前に、自らが襟をたださなければならない」と批判。未納閣僚らにも、「年金制度に対する国民の信頼を損なったという点で誠に遺憾である」と厳しく追及している。

 そして、菅氏の代表辞任については、「政党のトップとして国民の信頼を損ねた以上、辞任するのはやむを得ない」と述べている。

 しかし、自身の責任のとり方については、「公明党が日本の政治の重要な立場にあることを考えると批判を甘んじて受けながら、いまの体制でしっかり取り組ませていただく」と、たちまちトーンダウン。これでは、開いた口がふさがらない。

 同じ思いは、身内からも上がっている。公明党の支持母体である創価学会有志らでつくる「行動する平和憲法のネットワーク」議長の山口大輔さん(34)も、その一人だ。

 「神崎代表は、当初は自分に未納がない、と言っていて、本格的に調べてみたら出てきたというアホみたいな話です。未納が発覚した執行部の3人は、もともと法律家なのだから、制度を把握していなかったという言い逃れをしてはいけないはず。これまでの党のクリーンなイメージを大切にして、三役はきっぱりと辞めていただきたい。まじめな学会員は憤慨しています」と厳しい注文を出す。

 前出の森田氏は、今回の混乱の根本的な責任は公明党にあると指摘する。

 「公明党と厚生労働官僚が結託して中央突破を図ろうとしたのが今回の年金法案です。もはや自民党は創価学会の票がないと政権の座を保てない。だから、『福祉』の看板をほしがる公明党に厚労省を丸ごと与えてしまったのです。公明党全体が厚労族化したと言っていい。厚労省にとっても、公明党をバックにつけることで省益を確保できるメリットがある。」

 情報公開の観点から与党の議員を批判するのは、千葉大教授の新藤宗幸氏(政治学)である。

 「最も悪質といえるのは、わかっていたのに黙っていたケースでしょうね」と言う。「まずは福田前官房長官。それから神崎代表ら公明党幹部、森副厚労相。法案審議に影響がなくなるまで隠していたわけです。そして、小泉首相も同罪です。任意加入の時期だからいいという問題ではない。訪朝を発表するまで隠していたことの倫理が問われます。事実、訪朝でこの問題は帳消しになってしまう可能性がある。いずれも、与党に不利に働かないだろうと判断した時点で公表している。政治家としてのモラルを疑わざるを得ません」

 「個人情報」をタテに納付状況の公表を拒む態度も新藤氏は厳しく批判する。

 「だったら資産公開は何なのか。資産の方がよほど個人情報です。公人である政治家の個人情報は一般市民の個人情報と同列ではない」


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