公明党 福島豊衆議院議員様
障害者の人権を守るネットワーク
代表 住田雅清
貴職におかれましては、長年にわたり障害者福祉の向上に尽力されていることに対して、敬意と感謝を表します。
私どもの団体は長年にわたり障害者の人権確立のため活動している団体・個人の連絡会で、以下縷々述べさせていただくように、一旦、廃案になり、今国会で再提出され審議している障害者自立支援法案(以下、自立支援法案と略す)に対して、大きな危機感を持っております。
また代表を務める私が個人的な心情を吐露することは、本来許されないとは思いますが、敢えて申し上げたいと思います。私は言葉は全くしゃべれず、現在トーキングエイドを使用してコミュニケーションを図っている重度の車椅子脳性麻痺の障害者です。そして長年にわたり今は亡き母と共に、日夜心血を注いで公明党を支持・支援してきた者です。「平和と福祉」を掲げ、何よりも社会的弱者の側に立った政治の実現を目指されてきたからこそ私は支持してきたのです。その公明党が、そして障害者福祉に最も取り組まれてきた福島議員が、なぜ障害者自立支援法案を容認されるのでしょうか。今後ますますノーマライゼーションの実現を図り、障害者の生存権・生活権の拡充を図るべきにも関わらず、むしろそれを阻害し時に生活破壊にまで至る恐れのあるこの法案を容認されることに、大きな憤りと不安を持たずにはおれません。
以下具体的に述べていきます。
@ 定率負担は障害者・家族の生活を破壊し、サービス利用の抑制になります
「介護保険で高齢者も一割負担している」「国家財政が危機である」、だから障害者にも負担してもらうことは止むを得ない、こんな話が定率負担導入の理由として挙げられています。そして負担と同時に就労支援も行い所得保障を今後図っていくとされています。しかしあまりにも現実からかけ離れた考えです。
福祉サービスを受けている障害者は殆どの者が働けたくても働けない低所得の者です。私は非営利なNPO団体や小規模作業所の運営にも関る仕事をしていますが、無給です。
私は若い時、劣悪な職場環境のなか、10年間働きました。人並みに働こうと必死で身体に鞭打ち、無理に無理を重ねて腰を痛め、職場をやめざるを得なくなりました。他に仕事を探しましたが、腰を痛めているために職業に就けなくなりました。「就労支援をやります」と公明党の議員は言われていますが、現実的に私のような者が就労できるのは不可能です。そしてこの不況下、大学を卒業した健常者でも就職が困難な状況です。障害者雇用促進法も罰則はあるものの企業に対して明確な義務規定のないザル法であり、最低賃金法からも外されております。諸外国のような差別禁止法も日本にはありません。
そして仮に障害者の就労支援を行なうと言われるのなら、どんな重い障害者でも就労させると言えるのでしょうか。現実的に就労できない者はいます。それでは、そんな障害者への所得保障として障害年金の拡充は検討されているのでしょうか。国政での議論を見る限り、年金削減はあり得ても拡充の声など全く皆無です。
もし、「定率負担」を導入されるなら、雇用促進法の抜本的な見直しによる就労保障、そして年金拡充による所得保障、それらが確立されてからでなければできないはずです。そうでなければ、「負担を強いられるなら利用を控えよう」、そんな声は多くの人から既に聞いています。みんな、「できることなら僕らも負担したい」と言います。しかし現実的にできないのです。なぜその現実に依拠して検討していただけないのでしょうか。
A 審査会の導入と新たな障害程度区分は利用時間の上限になります
24時間の介護が必要な人に対して、4時間しか時間数が認めらなれなくなれば生活施設ではなくて地域で生活している最重度の障害者は暮らしていけなくなります。風呂介護の場合は介護従事者の腰の保護のためと障害者の安全確保のために2人体制で行なっている場合もあります。1日25時間になる場合もあります。このような現場の実情をおわかりでしょうか。
そもそも支援費制度をどのように総括されているのでしょうか。社会福祉基礎構造改革に則り、多様なサービス提供が図られ、何よりノーマライゼーションの実現、施設から地域へ、そして障害者の自己決定による契約制度が根本理念と背景です。今まで、「介護を受ける」ことを権利として主張することは困難でした。家族が障害者を隠す、また残念ながら親子心中事件等、まだ現実に起きています。そのなかで支援費制度になって、福祉サービスが利用しやすくなり、少しは地域で行き続ける可能性が見出せたのです。だからこそ支援費制度になり利用が急増したことは必然であり、ノーマライゼーション実現のためにはむしろ歓迎すべきことではないでしょうか。このような福祉の歴史的な流れに立ち、なぜ検討されないのでしょうか。「自己決定による対等な契約制度」、それを放棄されるのですか。
B 現在でも自己負担は強いられています
現在の支援費制度の下でも自己負担は強いられています。様々なケースがありますが、私自身が経験したことを述べます。入院時の介護です。私はC型肝炎になり入院しました。名目は完全介護なので看護師が介護もすべきなのですが、現実には他の高齢者患者の看護で精一杯で障害者の介護まで手がまわりません。障害者の中ではコミュニケーションが困難な人は多くいます。初めて会う看護師が十分コミュニケーションが図れるでしょうか。現実には無理です。意思疎通が十分図れない所で、果たして医療が成立するのでしょうか。しかし、現在の支援費では入院中は適応されません。そして生活保護費の他人介護料も適応されません。私のように地域にいて1人暮らしで家族の力もあてにできない者はヘルパーさんの力が絶対必要なのです。食事介護、衣類を洗うことなど看護師はしてくれません。
まさに医療と福祉の狭間の矛盾です。入院時にでも介護制度を使うようにするか、病院がきちんと介護をするように厚生労働省が指導するかどちかしてくれないと、病気でしんどい時に駅頭に立ってボランティア集めのビラまきをしないとならないというマンガにもならないことにもなります。
このように、今の支援費制度さえ問題だらけだのにこれがまた後退させるとなったら、私たち地域に生きていこうとしている障害者は生活破綻を起して野たれ死になります。
上記三点以外にもまだまだあります。以下項目だけ記します。
・ 移動支援が介護給付から外される
・ グループホームの再編
・ 地域生活支援事業が裁量的経費であり中身が不明
以上、公明党として現実に依拠し、障害者・家族の切実な声に耳を傾けられ、真摯に検討され、拙速な結論ではなく、十分な国会審議を図られるよう、何卒、よろしくお願いします。
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